Riot GamesがVanguard強化を発表、マザーボードのBIOS未更新ではVALORANTが起動不可に
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Riot GamesがVanguard強化を発表、マザーボードのBIOS未更新ではVALORANTが起動不可に

Riot Gamesは、VALORANTに搭載されているアンチチートシステム「Vanguard」に関する新たなセキュリティアップデートを発表しました。
今回の対応では、一部のマザーボードに存在していた起動前(Pre-Boot)段階の重大な脆弱性を封じることを目的としており、影響を受ける環境ではVALORANTの起動が制限される可能性があります。

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起動前にチートが仕込まれる問題が判明

Riot Gamesによると、2025年初頭に調査を行った結果、複数メーカーの最新マザーボードに共通する不具合が確認されました。この問題により、DMA(Direct Memory Access)を利用したハードウェアチートが、検知されずにコードを注入できる可能性があったといいます。

通常、PCは電源投入直後にUEFI(BIOS)を読み込み、その後WindowsなどのOSが起動します。しかし、このOS起動前の段階は最も権限が高い状態であり、ここで不正な処理が行われると、OSやアンチチートが起動した時点では検知が極めて困難になります。

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問題の原因は「IOMMUの初期化不備」

この脆弱性の中心となっていたのが、IOMMU(入出力メモリ管理ユニット)です。
IOMMUは、DMAデバイスによる不正なメモリアクセスを防ぐための仕組みで、多くのPCでは「Pre-Boot DMA Protection」としてBIOS設定から有効化できます。

しかし、Riot Gamesの調査により、一部のマザーボードでは設定上は有効になっているにも関わらず、起動直後の段階でIOMMUが正しく初期化されていないケースが判明しました。
結果として、OS側は「安全な状態」だと誤認識し、わずかな時間差を突いたハードウェアチートが侵入できる状況が生まれていたとしています。

各メーカーがBIOSアップデートで対応

この問題を受け、Riot Gamesは各ハードウェアメーカーと連携。
現在、以下の主要メーカーが公式に脆弱性を認め、BIOSアップデートを配布しています。

  • ASUS(CVE-2025-11901)
  • GIGABYTE(CVE-2025-14302)
  • MSI(CVE-2025-14303)
  • ASRock(CVE-2025-14304)

これらのアップデートにより、電源投入直後からIOMMUが正しく機能するよう修正され、起動前の不正コード注入を防げるようになります。

影響を受けるとVALORANTが起動不可に

Vanguardは、問題のある環境を検出した場合、「VAN:Restriction」と呼ばれる制限を適用します。
この状態ではVALORANTを起動できず、BIOSの設定変更やマザーボードのファームウェア更新が求められます

なお、Riot Gamesは「この制限はチートを疑っているわけではない」と説明しています。
セキュリティ機能が正しく動作していない環境は、チーターの使用環境と区別がつかないため、一律で制限せざるを得ないとのことです。

また、今後はアセンダント以上の高ランク帯プレイヤー全員に、このセキュリティ要件を適用することも検討していると明かしました。

Riot Games「起動前対策は業界全体にとって重要」

Riot Gamesは今回の対応について、「単なるVALORANTの問題ではなく、ゲーム業界全体に影響する重大な脆弱性だった」とコメントしています。

この問題が見過ごされていれば、DMAチートに対する既存の検知・防止技術そのものが無力化される恐れがあったとし、今回の修正は業界全体のセキュリティ向上につながると強調しました。

事前にBIOS更新を推奨

Riot Gamesは、プレイヤーに対してマザーボードのBIOSを最新バージョンへ更新することを強く推奨しています。
更新方法は各メーカー公式サイトに掲載されており、不明点がある場合はRiot Supportへの問い合わせも可能です。

「公平で安全な競技環境を守るために、プレイヤーの協力に感謝する」として、今後もVanguardの強化を続けていく姿勢を示しました。

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