
Riot Games、VCT Pacific選手「Ban」に12か月の出場停止処分、試合操作提案への関与を認定、自己申告は情状酌量に
Riot Gamesは、VALORANTの公式大会「VCT Pacific 2025」に出場していたSeungmin “Ban” Oh選手について、グローバル・コード・オブ・コンダクト違反があったとして、12か月間の出場停止処分を科すことを発表しました。

今回の処分は、2025年7月19日に行われたGlobal Esports対Team Secretの試合を巡り、Ban選手が試合操作に関する提案を受け、それに応じる形でやり取りを行っていたと判断されたことによるものです。
調査の経緯
2025年8月27日、VCT Pacificにおける試合操作を示唆する未確認のDMスクリーンショットがオンライン上に投稿されたことで、Riot Gamesは事態を把握。外部調査機関としてSportradarを起用し、関係者への聞き取り調査が行われました。
調査は同年11月18日に完了。スクリーンショット自体の真偽を直接裏付ける証拠は確認されなかったものの、証言や関連資料からBan選手が試合操作の提案に関与していた可能性が高いと判断されました。
これを受け、Riot Gamesは12月3日に正式な懲戒手続きを開始。Ban選手は12月10日に書面で弁明を提出しています。
Riotの判断:実行の有無は問わず違反
Ban選手は調査の中で、「意図的にパフォーマンスを落としたり、実際に試合操作を行う意思はなかった」と主張しました。
実際、Riot Gamesは当該試合におけるK/D/Aなどの客観的なパフォーマンスデータや試合内容を精査しましたが、意図的なプレー低下を断定できる証拠は確認されませんでした。
しかし、Riot Gamesは以下の点を重く見ています。
- 試合操作を持ちかけた人物とのやり取りを継続したこと
- 金銭条件を含む提案内容について会話を行ったこと
- 即座に拒否・通報しなかったこと
グローバル・コード・オブ・コンダクトでは、意図の有無にかかわらず、試合操作に関する協議や同意そのものが違反とされています。そのため、実際に操作が行われていなくても、Ban選手の行為は第4.14条(試合操作)違反に該当すると結論づけられました。
自己申告は「重要な情状酌量」
一方で、処分の重さを判断するにあたり、Riot Gamesは複数の情状酌量要素も考慮しています。
特に評価されたのが、Ban選手がRiot Gamesから連絡を受ける前に、自身のチーム運営へ問題を自己申告していた点です。この申告は試合後ではあったものの、正式な懲戒手続き開始前に行われており、処分軽減につながる重要な要素とされました。
処分内容
Riot Gamesが下した最終的な処分は以下の通りです。
- Riot公認大会への出場停止:12か月間(即時適用)
- 競技倫理・インテグリティに関する教育プログラムの受講を義務付け
- 独立した第三者機関によるもの
- リーグの事前承認が必要
- 修了証明の提出が必須
この教育要件を満たさない場合、復帰時にさらなる処分が科される可能性もあるとしています。
Riot Gamesの姿勢
Riot Gamesは、「試合操作は競技の信頼性とeスポーツの将来を脅かす重大な違反行為」であると改めて強調。今回の裁定についても、「同様の行為を抑止するためのもの」と説明しています。
なお、本件の裁定は最終決定とされており、異議申し立ては不可。ただし、新たな重要証拠が発見された場合に限り、再検討が行われる可能性があるとしています。







